事業承継・M&A補助金とは?4つの枠の上限額・補助率と申請の注意点を解説

事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠の補助上限額と補助率、対象になる取組と経費、M&A支援機関登録制度の注意点、審査のポイントを、日本補助金協会が公募要領をもとに解説します。

最終更新:2026年11月6日|16次公募の公募要領(Ver.1.0・2026年9月)と事務局サイトに基づく|執筆:日本補助金協会 編集部

事業承継・M&A補助金の要点

16次公募は受付終了 16次の締切:2026年11月6日(金)17:00。次回(17次)の日程は未発表です

  • 正式名称:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金
  • 対象:親族・従業員への承継、M&A(買い手・売り手)、M&A後の統合(PMI)、廃業して再挑戦する中小企業者等
  • 補助上限額:枠によって150万円〜2,000万円
  • 補助率:1/3〜2/3(枠・事業者の規模・業績などによる)
  • 注意:M&Aの仲介・FAの費用は、国の「M&A支援機関登録制度」に登録された業者を使った場合だけが対象

公式サイト M&A支援機関登録制度

事業承継・M&A補助金とは?

中小企業者等が、事業承継やM&A(事業再編・事業統合)をきっかけに行う取組の経費の一部を補助する、国の補助金です。事業承継やM&Aを後押しし、生産性の向上につなげることが目的です。

次の4つの枠があり、承継の形や立場によって使う枠が変わります。

枠 こんなときに
事業承継促進枠 5年以内に親族や従業員に事業を継ぐ予定で、後継者が中心になって設備投資などをする
専門家活用枠 M&Aで会社や事業を買う・売るときの、仲介・FA・デューデリジェンス(買収前の調査)などの専門家費用
PMI推進枠 M&Aの後に、会社どうしを統合する作業(PMI)や、統合のための設備投資
廃業・再チャレンジ枠 M&Aで引き継ぎ手が見つからず、廃業して新しいことに挑戦する/ほかの枠とあわせて一部の事業を廃業する

※M&Aによる承継は、事業承継促進枠の対象になりません(専門家活用枠やPMI推進枠を使います)。

補助上限額と補助率は?(16次公募)

枠・類型 補助上限額 補助率
事業承継促進枠 800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円) 小規模事業者等 2/3、それ以外 1/2(賃上げで上限を1,000万円に引き上げた場合、800万円を超える部分は一律1/2)
専門家活用枠(買い手支援類型) 600万円(デューデリジェンスを実施すると+200万円) 2/3
専門家活用枠(売り手支援類型) 600万円(デューデリジェンスを実施すると+200万円) 1/2(物価高などで営業利益率が下がった場合、または直近決算で営業利益か経常利益が赤字の場合は2/3)
専門家活用枠(小規模売り手支援類型) 450万円 2/3
専門家活用枠(買い手支援類型 100億企業特例) 2,000万円 1,000万円までの部分 1/2、それを超える部分 1/3
PMI推進枠(PMI専門家活用類型) 150万円 1/2
PMI推進枠(事業統合投資類型) 800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円) 小規模事業者等 2/3、それ以外 1/2(賃上げで上限を1,000万円に引き上げた場合、800万円を超える部分は一律1/2)
廃業・再チャレンジ枠 300万円(ほかの枠と組み合わせる場合は上乗せ。小規模売り手支援類型との併用は150万円) 単独申請は2/3
  • 賃上げ要件(上限1,000万円):補助事業を終えた事業年度(基準年度)と比べて、翌年度の従業員1人あたり給与支給総額を3%以上上げること。申請時までに従業員に表明しておく必要があります。達成できない場合や、その後の各年度末で水準を保てない場合は、引き上げ分(最大200万円)を返還します。
  • M&Aが成立しなかった場合:専門家活用枠の補助上限は300万円(小規模売り手支援類型は50万円)に下がります。対象経費は、買い手支援類型は原則デューデリジェンス費用のみ、売り手支援類型は原則デューデリジェンス費用とシステム利用料、小規模売り手支援類型は基本合意書を結んでいる場合に限り着手金・システム利用料・デューデリジェンス費用です。廃業費の上乗せ分は対象外になります。買い手が自己都合で一方的にM&Aを取りやめたと判断された場合は、すべての経費が対象外となり、交付後でも取り消されることがあります。
  • 100億企業特例:譲渡価額5億円以上、「100億宣言」の公表、引き継いだ従業員の雇用を3年間維持すること、などが条件です。

対象になる事業者・取組は?

  • 中小企業者等(法人・個人事業主)が対象です。医療法人、社会福祉法人、一般社団・財団法人、組合などは対象外です。
  • 事業承継促進枠:5年以内に親族内承継・従業員承継を予定していること。後継者は、役員や従業員として3年以上の経験がある人、または代表経験のない親族などです。法人は3期分の決算が終わっていること。経営権と株式などの所有権の両方を引き継ぐことが必要で、認定経営革新等支援機関の確認も受けます。承継が完了しないと、補助金を返還します。
  • 専門家活用枠:株式譲渡、事業譲渡、合併などのM&Aで、会社や事業を譲り受ける(買い手)・譲り渡す(売り手)予定であること。買い手はデューデリジェンスの実施が必須です。グループ内の再編、親族間の承継、物品・不動産だけの売買、取引価格の合理性が確認できない取引(譲渡価格0円や株価1円の取引など)は対象外です。
  • PMI推進枠:公募締切日の時点でM&Aのクロージング(取引完了)から3年以内であること。PMI専門家活用類型は、買い手支援類型と同時に申請すればクロージング前でも申請できますが、M&Aが成立しなければ対象外になります。
  • 廃業・再チャレンジ枠:2020年以降にM&Aに取り組んだものの、公募締切日の時点で3か月以上たっても成約しなかったこと(事業承継・引継ぎ支援センターへの相談、M&A支援機関との契約、マッチングサイトへの登録のどれかが必要。自社だけで取り組んだ場合は対象外)。単独で申請する場合は、廃業後に再チャレンジする事業の計画について、認定経営革新等支援機関の確認も必要です。

対象になる経費は?

枠 主な対象経費
事業承継促進枠 設備費(店舗・事務所の工事、機械器具など)、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費
専門家活用枠 FA・仲介の相談料・着手金・中間報酬・成功報酬、デューデリジェンス費用、M&Aマッチングサイトの登録料・成約手数料、表明保証保険料など
PMI推進枠 PMI専門家(士業・コンサルタントなど)への費用/統合のための設備費、外注費、委託費
廃業費 廃業のための司法書士費用(単独申請では解散・清算時の会計・税務の専門家費用も対象。廃業支援費は50万円まで)、在庫の廃棄、解体、原状回復、リースの解約など

M&A支援機関登録制度について

FA・M&A仲介の費用が対象になるのは、M&A支援機関登録制度に登録された業者を使った場合だけです。交付申請までに登録が終わっていないと要件を満たしません。相見積もりを取る相手の仲介・FA業者も、登録業者である必要があります。仲介会社を選ぶときは、まず登録の有無を確認しましょう。

申請の準備とスケジュール

16次公募は、2026年10月2日〜11月6日(金)17:00で受付を終えました。採否の決定は12月下旬以降、交付申請の受付は2027年1月上旬から、交付決定は2027年1月下旬以降順次の予定です。次の17次公募の日程は、まだ発表されていません。

次の公募に向けて、今からできる準備

  • GビズIDプライム:発行まで1〜2週間(混雑時は3週間程度)かかります
  • 事業承継計画:加点を受けるために事業承継・引継ぎ支援センターや中小機構の地域本部の支援で事業承継計画書を作る場合、事務局は少なくとも3か月程度かかるとしています。認定経営革新等支援機関の確認も、締切直前では間に合わないことがあるため、早めに相談しましょう
  • M&Aの専門家選び:仲介会社・FAがM&A支援機関登録制度に登録されているか確認する

申請から入金までの流れ

  1. 公募要領の確認、事業承継・M&Aの計画づくり、認定支援機関探し
  2. GビズIDプライムの取得、書類の準備
  3. (事業承継促進枠など)認定支援機関の確認を受ける
  4. Jグランツで電子申請
  5. 採択 → 交付申請 → 交付決定(ここから契約・発注できる)
  6. 補助事業の実施(16次は、交付決定日〜2028年3月中旬の予定)
  7. 実績報告 → 補助金額の確定 → 入金(後払い)
  8. 事業化状況報告(事業承継促進枠・事業統合投資類型は5年間、専門家活用枠・PMI専門家活用類型は3年間)

審査で見られるポイント

公募要領に示されている書面審査の観点から、特に押さえておきたい点をまとめました。

  1. 事業承継促進枠:取組の目的・必要性、実現可能性、収益性、継続性が見られます。
  2. 買い手支援類型:期間内に実行できる計画か、財務の健全性、買収の目的・必要性、地域経済への効果、成長の見込みが見られます。
  3. 売り手支援類型:期間内に実行できる計画か、譲渡の目的・必要性、地域経済への効果が見られます。
  4. PMI推進枠:統合の目的・必要性、計画の合理性、シナジー(統合効果)、成長の見込み、財務の健全性が見られます。
  5. 加点項目:経営力向上計画・経営革新計画などの認定、事業継続力強化計画の認定、健康経営優良法人、えるぼし・くるみん、賃上げ2%以上の表明、事業承継・引継ぎ支援センターの支援を受けた計画づくり(事業承継促進枠)、小規模事業者等であること(専門家活用枠)など。

出典:16次公募の各公募要領「審査」「加点事由」

申請で失敗しやすいポイント

  • 交付決定の前に仲介契約を結ぶ:契約・発注・支払いは、すべて交付決定後の補助事業期間内に行う必要があります。交付決定前に結んだ仲介契約の費用は対象外です。
  • 登録されていない仲介会社を使う:M&A支援機関登録制度に登録されていないFA・仲介業者の費用は対象外です。
  • 申請書の作成を有料で代行してもらう:お金を受け取って申請書を作れるのは行政書士だけです。それ以外の人に頼むと、行政書士法違反のおそれがあり、交付決定が取り消されることがあります。高すぎる成功報酬を求める業者にも注意するよう、事務局が呼びかけています。
  • 承継の時期を誤る:事業承継促進枠は、締切日から5年以内の承継が対象です。締切より前に承継を終えたものは対象外です。
  • 過去の報告を出していない:以前の事業承継・引継ぎ補助金などを受けた事業者は、事業化状況報告をきちんと出していないと申請できません。

よくある質問

M&Aで会社を引き継ぐ場合も、事業承継促進枠を使えますか?

使えません。事業承継促進枠は親族内承継・従業員承継が対象です。M&Aの場合は、専門家活用枠やPMI推進枠を使います。

補助事業期間内にM&Aが成立しなかったら、補助金はもらえませんか?

一定の経費は補助の対象になり得ますが、補助上限は300万円(小規模売り手支援類型は50万円)に下がります。対象経費は、買い手支援類型は原則デューデリジェンス費用のみ、売り手支援類型は原則デューデリジェンス費用とシステム利用料、小規模売り手支援類型は基本合意書を結んでいる場合に限り着手金・システム利用料・デューデリジェンス費用です。廃業費の上乗せ分は対象外になります。なお、買い手が自己都合で一方的にM&Aを取りやめたと判断された場合は、すべての経費が対象外となり、交付後でも取り消されることがあります。

以前に事業承継・引継ぎ補助金を受けましたが、申請できますか?

申請できます。ただし、事業化状況報告を期日までにきちんと提出していることが条件です。

買い手と売り手の両方が申請できますか?

同じM&Aについて、買い手(買い手支援類型)と売り手(売り手支援類型)が、それぞれ1件ずつ申請できます。

関連する記事

都道府県・市区町村にも、事業承継の補助金があります

補助金ドックなら、全国約9,600件の補助金から、業種や地域で絞り込んで探せます。次の公募が始まったらすぐにお知らせし、申請のサポートもお任せいただけます。

補助金ドックで探してみる

※本ページは、事業承継・M&A補助金 16次公募の各公募要領(Ver.1.0・2026年9月)と事務局サイトの情報をもとに、日本補助金協会 編集部がまとめたものです。次回の公募では内容が変わる可能性があります。申請の際は、必ず最新の公募要領をご確認ください。